特殊詐欺から高齢の親を守る7つの対策【2026年版】
──「気をつけて」だけに頼らず、電話・お金・家族の3つの防壁をつくる

📋 この記事でわかること
- 特殊詐欺の被害がどのくらい拡大しているか
- 現在特に注意したい「ニセ警察詐欺」の手口
- 親に伝えておきたい代表的な詐欺のパターン
- ATMやインターネットバンキングの被害を抑える方法
- 家族で決めておきたい相談ルール
👥 こんな人におすすめ
- 高齢の親と離れて暮らしている
- 親が知らない電話にも出てしまう
- 親が固定電話を長年使い続けている
- 親が一人でATMや金融機関を利用している
- 親が「自分は詐欺には遭わない」と話している
- 親へどのように注意を促せばよいか分からない
📑目次
1.最近の特殊詐欺の手口
特殊詐欺は高齢者だけが被害に遭う犯罪ではありません。ニセ警察詐欺は件数では30代が最も多く巻き込まれていますが、1件当たりの被害額は70代が最も高額になる傾向があります。
警察庁によると、2025年の特殊詐欺は、警察が把握した認知件数(警察が犯罪として把握した件数)が2万7,832件、被害額が約1,423億1,000万円となり、いずれも過去最悪を更新しました。
2026年からは、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺も特殊詐欺の統計へ統合されています。そのため、2026年の数値は2025年以前と単純比較できません。
特殊詐欺被害額(暫定)
既遂1件当たりの被害額
国際電話番号(確定値)
集計範囲に注意:2026年から、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺が特殊詐欺へ統合されました。2026年の被害額は、2025年以前の特殊詐欺被害額と単純比較できません。
警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」
特に注意したいのが、警察官や検察官を名乗るニセ警察詐欺です。「あなたの口座が犯罪に使われた」「逮捕状が出ている」などと不安を与え、LINEやビデオ通話へ誘導します。
偽の警察手帳や逮捕状を見せた後、「資産を調べる」と称して、送金、暗号資産、金地金の購入・宅配などを指示します。
「ニセ警察詐欺」の巧妙な流れ
📞 恐怖を与える電話
警察官や検察官を名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われた」「逮捕状が出ている」などと告げ、強い不安を与えます。
💬 LINE・ビデオ通話で偽装
LINEなどへ誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を見せます。制服姿や本物らしい書類で、警察だと信じ込ませます。
💸 資産の移動・換金を指示
「優先調査」「資産確認」などと称し、口座への送金、インターネットバンキング、暗号資産、金地金の購入・宅配を指示します。
警察がLINEで取調べをしたり、捜査のために送金・金地金を求めたりすることはありません。
キャッシュカードのすり替え
警察官や金融機関の職員を名乗る人物が自宅を訪れ、カードを封筒へ入れさせます。「印鑑を取ってきて」などと言い、目を離した数秒の間に本物のカードを偽物とすり替えます。
キャッシュカード「すり替え」の手口
カードを封筒へ入れさせ、ほんの数秒の隙に本物を盗み取ります。
警察官や銀行員などを名乗り、「カードが不正利用されている」と不安を与えます。
「カードを確認する」「封印する」などの理由で、犯人が自宅へ来ます。
カードを封筒に入れ、「割り印が必要なので印鑑を取ってきて」と指示します。
目を離した隙に、本物のカード入り封筒と偽物の封筒をすり替えます。
カード・通帳・暗証番号は、電話や自宅訪問で求められても渡さない。
封筒へ入れるよう求められた場合も応じず、相手を家へ入れずに110番してください。
そのほかに注意したい手口
| 手口 | よくある誘い文句・特徴 | 基本の対策 |
|---|---|---|
| オレオレ詐欺 | 「事故を起こした」「会社のお金をなくした」などと家族を装う | 一度切り、以前から登録している本人の番号へかけ直す |
| 預貯金詐欺 | 警察官や銀行協会職員などを名乗り、「カードが不正利用されている」「暗証番号を確認したい」などと電話や訪問で持ちかける | 暗証番号は伝えない。訪ねてきた相手にもカード・通帳を渡さない |
| 還付金詐欺 | 市役所などを名乗り、「医療費や保険料が戻る」とATMへ誘導する | ATMで還付金を受け取ることはできないと覚えておく |
| 架空料金請求詐欺 | 未納料金や裁判を口実に、電子マネーなどで支払いを求める | SMSの番号へ連絡せず、公式窓口へ確認する |
| SNS型投資・ロマンス詐欺 | SNSやマッチングアプリで信用させ、投資金や手数料を求める | SNSだけで知り合った相手へ送金しない |
2.高齢の親を守る7つの対策
親本人の注意力だけに頼るのではなく、電話・金融・家族の3方向から対策します。設定を変更するときは、親本人へ目的を説明し、同意を得たうえで行ってください。
📌7つの対策
- 固定電話を常時留守番電話にする
在宅中も留守番電話にし、名前と用件を確認してから必要な相手へかけ直します。 - 番号表示と非通知拒否を利用する
ナンバー・ディスプレイで相手の番号を表示し、ナンバー・リクエストなどで非通知の電話へ直接出る機会を減らします。 - 不要な国際電話を止める
海外との電話を利用しない場合は、国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)で、固定電話の国際電話発着信休止を検討します。 - スマートフォンの迷惑電話・SMS対策をする
非通知や登録外番号の消音・拒否、迷惑電話判定、迷惑SMSフィルターなどを設定します。 - 振込・引出限度額を必要な範囲まで下げる
ATMやインターネットバンキングの1日当たり限度額を見直し、一度に失う金額を抑えます。 - カード・通帳・暗証番号を渡さない
警察官、市役所職員、金融機関の職員を名乗っていても渡しません。カードを封筒へ入れるよう求められた場合も同じです。 - お金や警察の話が出たら、電話を切って相談する
「今日中」「家族には秘密」「電話を切るな」と言われたときこそ、家族や警察へ相談します。相手から教えられた番号には折り返しません。
親の注意力だけに頼らない「3つの防壁」
通信の防壁
- 固定電話を常時留守番電話にする
- 非通知・国際電話を拒否する
- 警告・自動録音機能を利用する
金融の防壁
- ATMや振込の限度額を下げる
- ネットバンキングの上限を見直す
- カード・暗証番号を渡さない
家族の防壁
- お金の話が出たら電話を切る
- 家族だけの合言葉を決める
- 普段から相談しやすい関係を作る
親族を名乗る電話への備えとして、家族だけの合言葉を決めておく方法もあります。ただし、合言葉だけで判断せず、最終的には本人の登録済み番号へかけ直してください。
3.被害が疑われるときの対応
- 犯人との連絡を止める
電話、LINE、ビデオ通話、メールなどのやり取りを止めます。犯人を説得する必要はありません。 - 差し迫った状況では110番する
受け取り役が向かっている、現金やカードを渡そうとしている、脅されている場合はすぐに通報します。 - 送金先やカード会社へ連絡する
銀行、カード会社、電子マネー発行会社、暗号資産交換業者などへ連絡し、利用停止や送金取消しが可能か確認します。 - 証拠を保存して警察へ相談する
着信履歴、メッセージ、相手のアカウント、振込明細、宅配伝票などを削除せず保存します。
緊急連絡・相談窓口
「怪しい」と感じた段階でも相談できます。緊急度と内容に応じて使い分けてください。
受け取り役が自宅へ向かっている、現金やカードを渡そうとしている、脅されているなど、差し迫った状況では、すぐに警察へ通報してください。
| 窓口 | 電話番号 | 主な相談内容 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 警察相談専用電話 | #9110 | 不審な電話、詐欺の疑い、防犯全般 | 緊急ではない警察相談。発信地を管轄する都道府県警察の窓口へつながります。 |
| 消費者ホットライン | 188 | 架空請求、悪質商法、契約トラブル | 原則として最寄りの消費生活センター等を案内します。 |
| 金融サービス利用者相談室 | 0570-016811 | 預金口座、金融機関の対応、金融トラブル | IP電話からは03-5251-6811。Web受付もあります。 |
| 未公開株通報専用窓口 | 0120-344-999 | 未公開株、社債、不審な金融商品の勧誘 | 日本証券業協会の相談窓口です。 |
| 地域包括支援センター | 地域ごとに異なる | 高齢者の生活、権利擁護、継続的な見守り | 親の住所地を担当するセンターを、市区町村のWebサイトや窓口で確認します。 |
送金・カード利用があった場合:警察への相談と並行して、銀行、カード会社、電子マネー発行会社、暗号資産交換業者などへ早急に連絡してください。
詐欺に気づいても、親を責めないことが大切です。犯人は、恐怖、焦り、秘密、警察などの権威を組み合わせて相手を追い込みます。まず被害の拡大を止めてください。
4.まとめ
- 最近は、警察官を名乗りLINEやビデオ通話へ誘導する手口が目立つ
- カードのすり替え、還付金、架空請求、SNS型詐欺にも注意する
- 留守番電話、国際電話停止、限度額設定など、事前の環境づくりが重要
- お金や警察の話が出たら、電話を切って家族や公的窓口へ相談する
- 緊急時は110番、不審な電話の相談は#9110を利用する
犯人と話さない。
お金をすぐに動かさない。
一人で判断しない。
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参考情報
- 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
- 警察庁「令和8年5月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
- 警察庁・SOS47「手口一覧と今日からできる対策」
- 警察庁・SOS47「ニセ警察詐欺に注意!」
- 警察庁・SOS47「ニセ警察詐欺の特異な手口」
- 警察庁・SOS47「警察に偽装した電話番号に注意」
- 警察庁・SOS47「みんなでとめよう!!国際電話詐欺」
- 消費者庁「消費者ホットライン188」
- 金融庁「金融サービス利用者相談室」
Lifetrixでは、金融機関向けシステム開発に20年以上携わった経験を生かし、資産管理サービス「iNFINITY Life」と高齢者見守りサービス「みまもライフ」を企画・開発しています。こうした実務経験と保有資格、公的機関の資料をもとに、資産管理・相続、高齢の親の見守りについて、分かりやすい情報を発信しています。
主な編集・執筆担当者の保有資格:応用情報技術者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種

