家なき口座はどこへ
「知らなかった」だけで、大切なお金が消えてしまう――。
【重要な免責事項】 本記事は 2025年6月時点 の法令・制度に基づく一般的な解説です。今後の法改正や個別事情によって取り扱いが変わる可能性があります。地域や各窓口の運用も異なるため、最終的な判断や申請手続きは必ず 弁護士・司法書士・税理士などの専門家 へご相談ください。
【重要な注意事項】 本記事では分かりやすさを優先し、一部の例外規定や詳細要件を省略しています。読者の資産状況・家族構成によっては別の方法が適切な場合があります。

もしあなたが、家族に知らせていない口座を持っていて、
突然死を迎えた場合、口座はどうなると思いますか?
遺族は口座の存在を知らないため、当然、口座は放置されたままとなります。
また、銀行は顧客の死亡を自動で把握しません。
もし連絡しようとした場合でも、住所や電話番号が古い場合は通知も届きません。
――こうして大切なお金が家族に渡らず消えてしまう事になります。
10年以上動かされなかった預金は預金保険機構へ※――。
2023年度だけで約 1,374 億円 (687 万件)の預金が 「休眠預金」として預金保険機構に移管されました。
相続の手続きが行われないまま時だけが過ぎ、残された家族が気付いた時には 「もう銀行では手続きできない」と案内される事例が全国で報告されています。
※ 正確には、①金融機関が本人へ通知 → ②1年経過後に預金保険機構へ移管 → ③指定活用団体(JANPIA)を通じ公益活動に充当されます。
報道にみる休眠口座の現実
休眠預金は毎年 1,000 億円規模で発生し続けています。
- 幻冬舎オンライン(2024年12月31日公開)は 「年間800億円が国庫に入る」と題して休眠預金問題を特集。
▶記事はこちら - 政府広報オンラインは「10年たつと休眠預金になる」と注意を促す記事を掲載。
▶記事はこちら
1. 休眠口座とは?
定義:最後の入出金から 10 年以上取引がない預金(普通・定期・当座など)
対象期間:2009 年 1 月 1 日以降の取引分
対象外:財形貯蓄・外貨預金など保険対象外商品の一部
ワンポイント
休眠預金でも相続人による払い戻し請求は可能ですが、追加書類や専用窓口での手続きが必要となり、通常より煩雑です。
2. どれくらいの預金が眠っている?
年度 | 発生額(億円) | 件数(万件) |
---|---|---|
2019 | 1,457 | 724 |
2020 | 1,408 | 718 |
2021 | 1,374 | 687 |
2022 | 1,528 | 706 |
2023 | 1,374 | 687 |
3. 相続人が直面する4つの負担
- 追加書類の用意:戸籍謄本・遺産分割協議書に加え、休眠預金専用の申請書を提出
- 専門家費用:弁護士 20〜50 万円、司法書士 5〜10 万円程度が目安
参照:チェスター税理士法人 - 照会先の拡散:複数銀行が関わると各行で別々の手続きが必要
- 時間的ロス:照合・確認で数週間〜数か月
4. 休眠口座を発見した場合の5ステップ
- 残高証明書を取得
- 相続人全員の同意書を作成
- 必要書類を揃える
- 銀行指定窓口へ提出
- 払い戻し完了後、税務申告を確認
ポイント:銀行ごとに書類が異なるため、事前確認がスムーズ。
5. 休眠預金の社会的活用
移管された休眠預金は公共公益事業に使われています。(内閣府)
"社会貢献に回る"とはいえ、本来は家族に残せた資産。生前管理がベストであることに変わりはありません。
6. トラブルを防ぐための実務チェックリスト
- 資産の棚卸し:通帳・証書・ネットバンク ID を年 1 回整理
- 金融機関別リスト:口座種別・支店名・最終入出金日を一覧化
- 家族共有:一覧を信頼できる家族や専門家と共有
- 終活ノート・遺言書への明記:紙とデジタル双方でバックアップ
7. iNFINITY Life でできること
口座の存在を家族と共有し、休眠口座を防止。
金額は概算でも OK。メモ欄で想いも伝えられます。
※ 本記事は金融庁・預金保険機構の公開情報を基に作成していますが、制度の詳細は最新情報をご確認ください。