バイナンスで約1兆円流出!過去最大の暗号資産被害を歴代事件と比較【2026年】

バイナンス約1兆円流出事件

暗号資産で過去最大の流出!
 過去の事件と、私たちにできる対策は?――

2026年10月30日、世界最大手の暗号資産取引所の一つ「Binance(バイナンス)」で、約63億ドル、日本円で約1兆円規模の暗号資産が不正に流出しました。

これは、2025年のBybit(バイビット)事件を大幅に上回る、過去最大の被害規模です。

日本でも、マウントゴックスやコインチェックなどで巨額の暗号資産流出事件が発生してきました。

今回の事件は、過去と比べてどれほど大きいのでしょうか。また、事件の後、各社はどう対応したのでしょうか。

歴代の事件を振り返りながら、被害規模とその後の対応を比較します。

2018年Coincheck
約580億円
2025年Bybit
約2,300億円
※ドル建ての事件は1ドル=157.55円(2026年10月30日)で円換算。概数です。
ご注意

⚠️ご覧いただく前に(重要事項)
情報の基準日: 本記事は2026年11月1日時点の公表情報に基づいています。事件は調査・復旧が進行中であり、被害額や補償状況、サービスの再開状況などは変更される可能性があります。
被害額について: 約1兆円という金額は、Binanceが公表した推定流出額を日本円に換算したものです。最終的に確定した被害額ではありません。
利用者資産について: Binanceは損失を全額負担する方針を表明していますが、これは盗まれた暗号資産の回収が完了したことを意味しません。なお、Binance Japanは国内顧客の預かり資産への影響は確認されていないと発表しています。
不審な案内に注意: 補償や出金再開を装った不審なメール・リンクには注意し、最新情報は公式サイトや公式アプリで確認してください。
※本記事は公表情報に基づく事件の解説を目的としており、特定の暗号資産の売買や取引所の利用を推奨するものではありません。

📑目次

1.Binanceで約1兆円の暗号資産が流出

Binanceの公式発表によると、日本時間2026年10月30日午前5時5分ごろ、暗号資産を管理する「ホットウォレット」が不正アクセスを受けました。

推定流出額は約63億ドル。

日本銀行が公表した10月30日午後5時時点のドル円相場(1ドル=157.55~157.56円)のうち、157.55円で換算すると、約9,926億円に相当します。

ホットウォレットとは、インターネットに接続された環境で暗号資産を管理する仕組みです。入出金に便利な一方、不正アクセスによる流出リスクがあります。

利用者の資産は補償される?

Binanceは、今回の流出による損失を、利用者保護基金「SAFU」や自社資金などで全額負担する方針を表明しました。

11月1日の公式発表では、影響を受けた資産の約95%に相当する補充が進んだと説明しています。

また、BTC、ETH、USDT、BNBなど主要10銘柄については、顧客残高に対して100%の準備金を確保したと公表しています。

流出資産のうち約30億ドルについては、ブロックチェーン上で凍結したとも説明しています。

ただし、「資産の補充」「盗まれた資産の凍結」「実際の回収」は、それぞれ異なります。

ご注意

補充率95%とは、盗まれた資産の95%を犯人から取り戻したという意味ではありません。

出金は11月1日から段階的に再開

Binanceは、安全確認のため暗号資産の出金を一時停止しました。

11月1日の公式発表(公式サポートページ「Security Incident | Recovery Update #4」)では、同日15~18時(日本時間)に第1段階の出金を再開する予定としています。

2026/11/1 16時更新

出金は11月1日に一部再開

Binanceは11月1日の公式発表で、同日15~18時(日本時間)に出金を段階的に再開する予定と案内しました。

その後、11月1日付のロイター通信は、BTC(ビットコイン)の出金が再開されたと報じています。

ただし、すべての暗号資産やネットワークで再開されたわけではありません。通貨・ネットワークごとの最新の出金可否は、Binanceの公式画面で確認してください。

出典:
Binance公式|Recovery Update #4(11月1日)
ロイター通信|BTC出金再開を報道(11月1日付)

対象にはBTC、ETH、BNB、SOL、XRPなどが含まれ、準備が整った通貨やネットワークから順次再開する計画です。

なお、実際の再開状況は、利用する通貨やネットワークによって異なる可能性があるため、最新の公式案内を確認してください。

2.過去の暗号資産流出事件を振り返る

暗号資産の巨額流出は、今回が初めてではありません。

特に日本では、2014年のマウントゴックス事件、2018年のコインチェック事件が大きな社会問題となりました。

世界の主な流出事件を時系列で比較してみましょう。

発生年・事件当時の被害額会社の対応とその後
2014年・Mt.Gox(日本)約470~480億円経営破綻。債権者への弁済が長期化
2018年・Coincheck(日本)約580億円NEM保有者への日本円による補償を完了
2021年・Poly Network約6.1億ドル流出資産の大部分が返還された
2022年・Ronin Network約6.2億ドル利用者資産を補填し、送金機能を再開
2024年・DMM Bitcoin(日本)約482億円顧客資産を補填し、他社へ移管。事業から撤退
2025年・Bybit約14.6億ドル72時間以内に顧客資産の準備金を回復
2026年・Binance約63億ドル全額負担を表明。資産補充率は約95%(11月1日時点)

※被害額は各事件の当時の公表・報道額に基づく概数です。暗号資産の価格や為替レートは時期によって異なります。Mt.Goxは長期間にわたる流出を含みます。また、取引所だけでなく、DeFiやブロックチェーン間の送金サービスへの攻撃も含めています。

日本で起きた3つの大規模事件

Mt.Gox(2014年)

かつて世界有数のビットコイン取引所だったマウントゴックスは、大量のビットコインが失われたことなどを受け、2014年に経営破綻しました。

その後、民事再生手続きによる債権者への弁済が進められていますが、弁済期限は2027年10月31日に延長されています。

Coincheck(2018年)

約580億円相当の暗号資産NEMが不正流出しました。

同社はNEMの保有者に対し、1NEM当たり88.549円の日本円による補償を実施し、2018年3月12日に完了しました。

DMM Bitcoin(2024年)

約482億円相当のビットコインが不正流出しました。

同社はグループ会社の支援によって顧客資産を補填。その後、2025年3月に顧客の口座と預かり資産をSBI VCトレードへ移管し、暗号資産交換業から撤退しました。

このように、流出事件後の対応は会社によって大きく異なります。 補償が行われた事例もあれば、経営破綻によって弁済が長期化した事例もあります。

3.流出額はどれほど大きくなったのか?

過去の事件を日本円に換算して比較すると、今回の被害がいかに突出しているかが分かります。

図:主な暗号資産流出事件の被害規模(円換算)

暗号資産流出事件の被害規模を比較

主な7事件の被害額を比較用に円換算(単位:円)

2014年Mt.Gox
約480億円
2018年Coincheck
約580億円
2021年Poly Network
約961億円
2022年Ronin Network
約977億円
2024年DMM Bitcoin
約482億円
2025年Bybit
約2,300億円

※各事件の当時の公表・報道額を使用。Ronin Networkは約6.2億ドルとして換算。円建て事件は当時の円評価額、ドル建て事件は比較のため1ドル=157.55円(日本銀行公表の2026年10月30日17時時点の参考水準)で換算。概数・四捨五入。Mt.Goxは長期間にわたる流出を含み、攻撃対象も事件によって異なります。ドル建ての事件は2026年10月30日の為替レートで統一換算しているため、事件当時の為替レートで換算した金額とは異なります。

2025年2月のBybit事件では、約14.6億ドルの暗号資産が流出し、当時の過去最大規模とされました。

しかし、その翌年に発生したBinance事件は約63億ドル。

Bybit事件の約4倍に相当します。

また、日本のコインチェック事件(約580億円)と比較しても、今回の約1兆円という規模は約17倍です。

ただし、暗号資産の価格や為替レートが事件ごとに異なるため、過去の事件との厳密な価値比較には注意が必要です。

4.なぜ、これほど巨額の暗号資産が盗まれるのか?

暗号資産は、ブロックチェーンという技術によって取引記録が管理されています。

しかし、ブロックチェーンそのものの安全性と、暗号資産を預かる取引所の安全性は別の問題です。

取引所では、大量の利用者資産を管理するため、ウォレットや送金システムが使われています。

こうしたシステムの管理権限や送金処理の仕組みが攻撃されると、多額の資産が不正に移転されるおそれがあります。

Binanceは当初、システム運用担当者のノートパソコンが侵害された可能性を示しました。その後の調査では追加の侵害箇所も見つかったと説明しており、具体的な侵入経路の全容は調査中です。

米FBIは北朝鮮による攻撃と発表

米FBIは米国時間2026年10月31日、今回の事件について北朝鮮による攻撃だと発表しました。

FBIは今回の攻撃活動を「TraderTraitor」と呼んでいます。

実は、FBIは2025年2月のBybit事件についても、北朝鮮による同じ「TraderTraitor」という活動名を使用していました。

つまり、約14.6億ドルが流出したBybit事件と、約63億ドルが流出した今回のBinance事件は、米FBIによって同じ攻撃活動と関連付けられています。

ただし、今回の流出額が過去最大となった直接の原因や、詳しい攻撃手順については、今後の調査結果を待つ必要があります。

5.日本の取引所に預けた暗号資産は大丈夫?

今回の事件を受け、日本の暗号資産取引所を利用している人も不安に感じるかもしれません。

Binance Japanでは顧客資産への影響を確認せず

日本法人のBinance Japanは10月30日、国内利用者から預かっている暗号資産について、今回の事件による影響は確認されなかったと発表しました。

同社によると、国内顧客の暗号資産は、今回被害を受けた海外のホットウォレットとは別のコールドウォレットで管理されています。

ただし、安全確認のため、暗号資産の出庫を一時的に停止しました。

10月30日の公式発表では、次のように案内しています。

サービス10月30日の公式発表時点
暗号資産の入庫通常どおり
暗号資産の出庫一時停止
暗号資産の売買通常どおり
日本円など法定通貨の入出金通常どおり

これはBinance Japanの10月30日時点の発表内容です。グローバル側の出金再開予定とは別に、Binance Japanの最新の公式案内を確認してください。

日本では顧客資産を守るためのルールがある

日本の暗号資産交換業者には、利用者の資産を守るための管理ルールが設けられています。

主な仕組みは次のとおりです。

  • 分別管理: 利用者から預かった暗号資産と、会社自身の暗号資産を区別して管理する。
  • コールドウォレット等での管理: 顧客の暗号資産は、原則としてインターネットから切り離した環境など、信頼性の高い方法で管理する。
  • 流出への備え: ホットウォレットなどで管理する顧客資産については、同種・同量の暗号資産を別途確保し、法令に従って管理する。

これらは資金決済法や関連する内閣府令などで定められています。

ただし、国内の交換業者であっても流出リスクがゼロになるわけではありません。

実際に、2024年にはDMM Bitcoinで約482億円の不正流出が発生しています。

制度による保護と、取引所自身のセキュリティ対策の両方が重要です。

6.個人では防げない流出事件。それでもできる対策はある

今回のように、取引所そのもののシステムが攻撃された場合、利用者が自分のパスワードを強化しても、取引所への侵入を防ぐことはできません。

しかし、個人のアカウントを狙った不正ログインや、偽サイトによる情報の窃取など、日頃の対策によってリスクを減らせる犯罪もあります。

特に注意したいのが、大きな流出事件に便乗した偽の案内です。

例えば、「補償を受けるための手続き」「出金再開に伴う本人確認」などと称して偽サイトに誘導し、IDやパスワードを入力させる手口が考えられます。

ご注意

今回の事件でこのような二次詐欺が実際に発生したと確認されたわけではありませんが、Binance Japanも不審なURLや連絡に反応しないよう注意を呼びかけています。

重要な案内は、メールやSMSに記載されたリンクを安易に開かず、普段利用している公式アプリや公式サイトから確認しましょう。

まとめ|約1兆円の流出事件が示したもの

2014年のマウントゴックス事件から約12年。

暗号資産の流出事件は、ついに1件で約1兆円規模という過去最大の被害額に達しました。

歴代の事件を振り返ると、運営会社が補償したケースもあれば、経営破綻によって資産の返還が長期化したケースもあります。

個人の対策だけでは、取引所へのサイバー攻撃を防ぐことはできません。

だからこそ、暗号資産を預ける際には、価格変動だけでなく、取引所の資産管理方法や、万が一の際の対応にも目を向けることが大切です。

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📚主な参考資料

情報基準日:2026年11月1日。Binance事件については調査・復旧が進行中のため、被害額や対応状況が更新される可能性があります。

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