特殊詐欺から高齢の親を守る7つの対策【2026年版】

──「気をつけて」だけに頼らず、電話・お金・家族の3つの防壁をつくる

特殊詐欺から高齢の親を守る7つの対策

💡「知らない電話には出ないでね」「お金の話はすぐに電話を切って」

離れて暮らす親へ、何度も伝えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、現在の特殊詐欺は、単に「息子のふりをしてお金を求めるだけではありません

警察官検察官市役所職員金融機関の職員などを名乗り、次のように不安をあおり、冷静に考える時間を与えない手口が増えています。

あなたの口座が犯罪に使われています
このままでは逮捕される可能性があります。
今日中に手続きしなければなりません。

電話の後にLINEビデオ通話へ誘導し、偽の警察手帳逮捕状を見せたり、インターネットバンキングで送金させたり、金地金を購入させたりする事例も確認されています。

親本人の「自分はだまされない」という注意だけに任せるのではなく、次の3つの仕組みをあらかじめ作っておくことが重要です。

困ったときに家族へ相談できる関係

犯人と直接話しにくい電話環境

お金をすぐに動かせない金融設定

緊急時

すでに現金やカードを渡すよう求められている、受け取り役が自宅へ向かっている、脅されている場合は110番してください

緊急ではない不審な電話の相談は警察相談専用電話「#9110
架空請求や契約トラブルは消費者ホットライン「188へ相談できます。


ご注意

本記事は、2026年8月時点で公表されている警察庁、消費者庁、金融庁などの情報をもとに、特殊詐欺の一般的な手口と予防策を紹介しています。
現金やキャッシュカードを渡すよう求められている、受け取り役が自宅へ向かっている、脅されているなど、差し迫った状況では、すぐに110番してください。
緊急ではない不審な電話や詐欺の相談は、警察相談専用電話「#9110」または最寄りの警察署へ相談できます。架空請求や契約トラブルは、消費者ホットライン「188」へ相談してください。
電話や金融機関の設定を変更するときは、親本人へ目的を説明し、同意を得たうえで行いましょう。

📋 この記事でわかること

  • 特殊詐欺の被害がどのくらい拡大しているか
  • 現在特に注意したい「ニセ警察詐欺」の手口
  • 親に伝えておきたい代表的な詐欺のパターン
  • ATMやインターネットバンキングの被害を抑える方法
  • 家族で決めておきたい相談ルール

👥 こんな人におすすめ

  • 高齢の親と離れて暮らしている
  • 親が知らない電話にも出てしまう
  • 親が固定電話を長年使い続けている
  • 親が一人でATMや金融機関を利用している
  • 親が自分は詐欺には遭わない」と話している
  • 親へどのように注意を促せばよいか分からない

📑目次

重要な免責事項

本記事は、特殊詐欺に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法律・金融その他の専門的な助言ではありません。また、記事で紹介した対策によって、すべての被害を防止できることを保証するものではありません。
制度、電話番号、受付時間、サービス内容などは変更される場合があります。実際に利用する際は、警察、行政機関、金融機関などの公式情報もご確認ください。
被害または被害のおそれがある場合は、記事の情報だけで判断せず、警察や金融機関などの関係機関へ速やかに相談してください。

1.最近の特殊詐欺の手口

特殊詐欺は高齢者だけが被害に遭う犯罪ではありません。ニセ警察詐欺は件数では30代が最も多く巻き込まれていますが、1件当たりの被害額は70代が最も高額になる傾向があります。

警察庁によると、2025年の特殊詐欺は、警察が把握した認知件数(警察が犯罪として把握した件数)が2万7,832件被害額が約1,423億1,000万円となり、いずれも過去最悪を更新しました。

2026年からは、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺も特殊詐欺の統計へ統合されています。そのため、2026年の数値は2025年以前と単純比較できません。

2026年1~5月
特殊詐欺被害額(暫定)
約1,514.7億円
前年同期比 約547.3億円増
2025年 ニセ警察詐欺
既遂1件当たりの被害額
922.5万円
高額な資産を狙う手口に注意
2025年に犯行へ悪用された
国際電話番号(確定値)
92,996件
前年比+95.4%。「+1」「+44」などの番号に注意

集計範囲に注意:2026年から、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺が特殊詐欺へ統合されました。2026年の被害額は、2025年以前の特殊詐欺被害額と単純比較できません。

警察官を名乗る「ニセ警察詐欺

特に注意したいのが、警察官や検察官を名乗るニセ警察詐欺です。あなたの口座が犯罪に使われた」「逮捕状が出ている」などと不安を与え、LINEやビデオ通話へ誘導します。

偽の警察手帳や逮捕状を見せた後、「資産を調べると称して、送金、暗号資産、金地金の購入・宅配などを指示します。

「ニセ警察詐欺」の巧妙な流れ

1

📞 恐怖を与える電話

警察官や検察官を名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われた」「逮捕状が出ている」などと告げ、強い不安を与えます。

2

💬 LINE・ビデオ通話で偽装

LINEなどへ誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を見せます。制服姿や本物らしい書類で、警察だと信じ込ませます。

3

💸 資産の移動・換金を指示

「優先調査」「資産確認」などと称し、口座への送金、インターネットバンキング、暗号資産、金地金の購入・宅配を指示します。

警察がLINEで取調べをしたり、捜査のために送金・金地金を求めたりすることはありません。

キャッシュカードのすり替え

警察官や金融機関の職員を名乗る人物が自宅を訪れ、カードを封筒へ入れさせます。印鑑を取ってきて」などと言い、目を離した数秒の間に本物のカードを偽物とすり替えます。

キャッシュカード「すり替え」の手口

カードを封筒へ入れさせ、ほんの数秒の隙に本物を盗み取ります。

☎️ 1.事前の電話

警察官や銀行員などを名乗り、「カードが不正利用されている」と不安を与えます。

🚪 2.自宅を訪問

「カードを確認する」「封印する」などの理由で、犯人が自宅へ来ます。

✉️ 3.封筒へ入れさせる

カードを封筒に入れ、「割り印が必要なので印鑑を取ってきて」と指示します。

⚠️ 4.数秒ですり替える

目を離した隙に、本物のカード入り封筒と偽物の封筒をすり替えます。

カード・通帳・暗証番号は、電話や自宅訪問で求められても渡さない。

封筒へ入れるよう求められた場合も応じず、相手を家へ入れずに110番してください。

そのほかに注意したい手口

手口よくある誘い文句・特徴基本の対策
オレオレ詐欺事故を起こした」「会社のお金をなくした」などと家族を装う一度切り、以前から登録している本人の番号へかけ直す
預貯金詐欺警察官や銀行協会職員などを名乗り、「カードが不正利用されている」「暗証番号を確認したい」などと電話や訪問で持ちかける暗証番号は伝えない。訪ねてきた相手にもカード・通帳を渡さない
還付金詐欺市役所などを名乗り、「医療費や保険料が戻る」とATMへ誘導するATMで還付金を受け取ることはできないと覚えておく
架空料金請求詐欺未納料金や裁判を口実に、電子マネーなどで支払いを求めるSMSの番号へ連絡せず、公式窓口へ確認する
SNS型投資・ロマンス詐欺SNSやマッチングアプリで信用させ、投資金や手数料を求めるSNSだけで知り合った相手へ送金しない

2.高齢の親を守る7つの対策

親本人の注意力だけに頼るのではなく、電話・金融・家族の3方向から対策します。設定を変更するときは、親本人へ目的を説明し、同意を得たうえで行ってください。

📌7つの対策

  1. 固定電話を常時留守番電話にする
    在宅中も留守番電話にし、名前と用件を確認してから必要な相手へかけ直します。
  2. 番号表示非通知拒否を利用する
    ナンバー・ディスプレイで相手の番号を表示し、ナンバー・リクエストなどで非通知の電話へ直接出る機会を減らします。
  3. 不要な国際電話を止める
    海外との電話を利用しない場合は、国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)で、固定電話の国際電話発着信休止を検討します。
  4. スマートフォンの迷惑電話・SMS対策をする
    非通知や登録外番号の消音・拒否、迷惑電話判定、迷惑SMSフィルターなどを設定します。
  5. 振込・引出限度額を必要な範囲まで下げる
    ATMやインターネットバンキングの1日当たり限度額を見直し、一度に失う金額を抑えます。
  6. カード・通帳・暗証番号を渡さない
    警察官、市役所職員、金融機関の職員を名乗っていても渡しません。カードを封筒へ入れるよう求められた場合も同じです。
  7. お金や警察の話が出たら、電話を切って相談する
    「今日中」「家族には秘密」「電話を切るな」と言われたときこそ、家族や警察へ相談します。相手から教えられた番号には折り返しません。

親の注意力だけに頼らない「3つの防壁」

📞

通信の防壁

  • 固定電話を常時留守番電話にする
  • 非通知・国際電話を拒否する
  • 警告・自動録音機能を利用する
💰

金融の防壁

  • ATMや振込の限度額を下げる
  • ネットバンキングの上限を見直す
  • カード・暗証番号を渡さない
🏠

家族の防壁

  • お金の話が出たら電話を切る
  • 家族だけの合言葉を決める
  • 普段から相談しやすい関係を作る

「見破る」よりも、犯人と話さない・お金を動かせない・一人で決めない仕組みを作りましょう。

親族を名乗る電話への備えとして、家族だけの合言葉を決めておく方法もあります。ただし、合言葉だけで判断せず、最終的には本人の登録済み番号へかけ直してください

3.被害が疑われるときの対応

  1. 犯人との連絡を止める
    電話、LINE、ビデオ通話、メールなどのやり取りを止めます。犯人を説得する必要はありません
  2. 差し迫った状況では110番する
    受け取り役が向かっている、現金やカードを渡そうとしている、脅されている場合はすぐに通報します。
  3. 送金先やカード会社へ連絡する
    銀行、カード会社、電子マネー発行会社、暗号資産交換業者などへ連絡し、利用停止や送金取消しが可能か確認します。
  4. 証拠を保存して警察へ相談する
    着信履歴、メッセージ、相手のアカウント、振込明細、宅配伝票などを削除せず保存します。

緊急連絡・相談窓口

「怪しい」と感じた段階でも相談できます。緊急度と内容に応じて使い分けてください。

110

受け取り役が自宅へ向かっている、現金やカードを渡そうとしている、脅されているなど、差し迫った状況では、すぐに警察へ通報してください。

窓口電話番号主な相談内容補足
警察相談専用電話#9110不審な電話、詐欺の疑い、防犯全般緊急ではない警察相談。発信地を管轄する都道府県警察の窓口へつながります。
消費者ホットライン188架空請求、悪質商法、契約トラブル原則として最寄りの消費生活センター等を案内します。
金融サービス利用者相談室0570-016811預金口座、金融機関の対応、金融トラブルIP電話からは03-5251-6811。Web受付もあります。
未公開株通報専用窓口0120-344-999未公開株、社債、不審な金融商品の勧誘日本証券業協会の相談窓口です。
地域包括支援センター地域ごとに異なる高齢者の生活、権利擁護、継続的な見守り親の住所地を担当するセンターを、市区町村のWebサイトや窓口で確認します。

送金・カード利用があった場合:警察への相談と並行して、銀行、カード会社、電子マネー発行会社、暗号資産交換業者などへ早急に連絡してください。

詐欺に気づいても、親を責めないことが大切です。犯人は、恐怖、焦り、秘密、警察などの権威を組み合わせて相手を追い込みます。まず被害の拡大を止めてください

4.まとめ

  • 最近は、警察官を名乗りLINEやビデオ通話へ誘導する手口が目立つ
  • カードのすり替え還付金、架空請求、SNS型詐欺にも注意する
  • 留守番電話、国際電話停止、限度額設定など、事前の環境づくりが重要
  • お金警察の話が出たら、電話を切って家族や公的窓口へ相談する
  • 緊急時は110番、不審な電話の相談は#9110を利用する

犯人と話さない。

お金をすぐに動かさない。

一人で判断しない。

🔔 お知らせ

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特殊詐欺について相談しやすくするには、普段から連絡を取りやすい関係を保つことも大切です。

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