高齢の親から連絡が減ったのはなぜ?離れて暮らす家族ができる無理のないつながり方
──連絡の少なさだけで判断せず、普段の接点を見直すために

📋 この記事でわかること
- 一人暮らし高齢者の世帯数や会話頻度など、公的調査が示す最新の実態
- 親が「心配をかけたくない」と連絡を控えてしまう心理的な背景
- 毎日電話しなくても、親子が無理なく接点を保つための具体的な方法
👥 こんな人におすすめ
- 離れて暮らす親からの連絡が減り、漠然とした不安を感じている方
- 「毎日連絡すべきなのか」と頻度に迷い、自分を責めてしまう方
- 親に連絡や見守りを提案して「年寄り扱いするな」と言われた経験がある方
- 仕事や育児で忙しく、親のことが気になりつつも時間を割きにくい方
目次
1.📞親からの連絡が減っただけでは、異変とは判断できない
親からの電話やメッセージが減ると、「体調が悪いのではないか」「一人で困っているのではないか」と不安になることがあります。
しかし、連絡の頻度は親子ごとに異なります。電話をよく使う人もいれば、用事があるときだけ連絡する人もいます。連絡が少ないことだけを根拠に、心身の不調や孤立があると判断することはできません。
NTTドコモ モバイル社会研究所が、全国の60〜84歳のシニアを対象に行った調査(2024年公表)では、別居している家族と電話・メール・LINEなどで週1回以上連絡している人は約4割でした。
この結果からも、別居する家族との連絡頻度には幅があることが分かります。ただし、この調査は望ましい連絡頻度を示すものではありません。毎日が適切か、週1回未満が問題かは、親の健康状態や生活環境、これまでの連絡習慣などによって異なります。
大切なのは、ほかの家庭と比べることではなく、これまでの親子の連絡頻度から変化しているかを見ることです。
2.🏠高齢者の一人暮らしは珍しいことではない
高齢者世帯における単独世帯の増加
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査(2023〜2024年)」
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査」によると、65歳以上の人がいる世帯は2,760万4千世帯で、全世帯の50.3%を占めています。
そのうち、厚生労働省が「高齢者世帯」(65歳以上の人のみ、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯)に分類する世帯について見ると、一人暮らしに当たる単独世帯は903万1千世帯です。これは高齢者世帯全体の52.5%にあたり、一人暮らしがすでに半数を超えています。
※「52.5%」は「高齢者世帯」を分母とした割合です。「65歳以上の人がいる世帯」全体を分母にすると、高齢単独世帯の割合は約32.7%となります。分母の取り方によって数値が変わる点にご注意ください。
ただし、一人暮らしであることと、社会的に孤立していることは同じではありません。一人で暮らしていても、家族、友人、近隣住民などと定期的に交流している人はいます。
世帯構成だけで状況を判断せず、実際にどのようなつながりがあるかを見る必要があります。
3.💬一人暮らしでは、人と話す頻度が少ない傾向がある
毎日人と話す一人暮らしの高齢者
65歳以上全体(72.5%)と比べ、一人暮らしでは毎日話す割合が低くなっています。
会話が「週1回以下」
一人暮らしの約3人に1人が、人と話す機会の少ない状態にあります。
毎日人と話す65歳以上の人(全体)
前回調査(平成30年度)の90.2%から17.7ポイント低下しました。
出典:内閣府「令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)」
内閣府は、全国の65歳以上2,677人を対象に「令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)」を実施しました(2023年10〜11月実施、令和6年版高齢社会白書に掲載)。
「普段、人と話をする頻度」を尋ねた結果、65歳以上全体では「毎日」が72.5%で、前回(平成30年度)の90.2%から約2割減少しています。
独居高齢者の会話頻度内訳(2023年調査)
- 毎日 38.9%
- 2〜3日に1回 29.2%
- 週1回以下 29.6%
- 不明・無回答 2.3%
出典:内閣府「令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)」
「週1回以下」は「1週間に1回」「1週間に1回未満・ほとんど話をしない」の合計です。
一人暮らしの人に限ると、数値はさらに下がります。
- 毎日:38.9%
- 2〜3日に1回:29.2%
- 1週間に1回以下(「1週間に1回」「1週間に1回未満・ほとんど話をしない」の合計):29.6%
一人暮らしでは、毎日人と話す人が38.9%にとどまり、1週間に1回以下の人が合計29.6%を占めています。
ただし、この調査が尋ねているのは「人と話をする頻度」であり、子どもや家族との連絡だけを調べたものではありません。また、会話が少ない人の全員が孤独を感じているとは限りません。
それでも、家族以外も含めて人と話す機会が少ない状態は、離れて暮らす家族が親との接点を考える際の参考になります。
4.💭親が「心配をかけたくない」と考えていることもある
「迷惑をかけたくない」という親の気持ち
連絡や相談を控える背景には、「子どもに心配をかけたくない」という気遣いがあることが、調査からうかがえます。この気持ちが、不安や困りごとを一人で抱え込む一因になる場合もあると考えられます。
数値の出典:ダスキン「親の老後と介護に関する意識調査」(2022年・民間のインターネット調査)
親からの連絡が少ない背景を考えるときは、親が子どもに迷惑をかけたくないと考えている可能性にも目を向ける必要があります。
株式会社ダスキンが2022年に行った民間調査では、離れて暮らす子どもがいる60代以上の親世代を対象に尋ねたところ、97.8%が「老後、子どもの負担になりたくない」と回答しました。
また、親世代の48.4%が、体調が悪いときでも子どもの前で元気に振る舞った経験があると回答しています。老後について親子で真剣に話したことがない人も、親側で81.6%でした。
この調査はインターネットによる民間調査であり、日本の高齢者全体をそのまま表す公的統計ではありません。しかし、「大丈夫」という返事だけでは、親の詳しい生活状況まで分からない場合があることを考える材料になります。
一方で、親が「大丈夫」と答えたからといって、何かを隠していると決めつけることも適切ではありません。心配を押し付けるのではなく、普段の会話の中で自然に状況を共有できる関係を作ることが大切です。
5.🤝家族が無理なく接点を持つための方法
ここからは、統計から直接導かれる結論ではなく、親子が連絡を続けやすくするための実践例です。
🗓️連絡方法と頻度を親子で決める
家族が毎日電話したいと思っても、親は「監視されているようで落ち着かない」と感じる可能性があります。反対に、親が連絡を遠慮し、家族だけが不安を抱えることもあります。
「毎週日曜日に電話する」「朝に短いメッセージを送る」など、双方が負担に感じにくい方法を話し合います。
✉️返事の負担を小さくする
長電話や長い文章を毎回求めると、連絡そのものが負担になることがあります。
スタンプや短い返事だけでもよいことを伝えたり、「返事は急がなくて大丈夫」と添えたりすると、やり取りを簡単にできます。
☕安否確認と普段の会話を分ける
毎回「体調は大丈夫?」「何か困っていない?」と尋ねるだけでは、確認される側が負担を感じることがあります。
天気、食事、テレビ番組、季節の話題など、特別な用事がなくても話せる内容を持つことも、自然な接点になります。
🚨連絡が取れない場合の対応を決めておく
「何時間返事がなければ再度連絡するか」「近くの親族や知人に確認を頼めるか」などを、事前に家族で決めておくと、連絡がないときに慌てにくくなります。
差し迫った危険が疑われる場合は、見守りサービスだけに頼らず、119番、110番などの公的な緊急サービスを利用してください。
連絡が減ったことをすぐに病気と結び付ける必要はありません。ただし、無理のない形で普段から接点を持っていると、以前との違いを比較しやすくなります。
6.❓よくある質問

Q1.親には毎日連絡した方がよいですか?
毎日連絡することが、すべての家庭に適切とは限りません。
親の希望、健康状態、生活環境、これまでの連絡頻度を踏まえて、双方が続けやすい頻度を決めることが重要です。
Q2.親からの連絡が減ったら、認知症を疑うべきですか?
連絡が減ったことだけで、認知症かどうかを判断することはできません。
連絡手段の変化、生活リズム、機器の操作、親子関係など、さまざまな事情が考えられます。
会話や生活習慣などにも継続的な変化があり、気になる状態が続く場合は、地域包括支援センターやかかりつけ医などへの相談を検討してください。
※地域包括支援センターは、市区町村が設置する、高齢者本人や家族のための総合相談窓口です。介護が必要か分からない段階でも、生活・健康・介護などについて相談できます。
Q3.一人暮らしの親は、孤立しているのでしょうか?
一人暮らしと社会的孤立は同じではありません。
別居していても、家族、友人、近隣住民などと交流している人はいます。
世帯構成だけでなく、普段誰と話しているか、外出や地域活動の機会があるかなども含めて考える必要があります。
Q4.親が「頻繁に連絡しなくていい」と言う場合はどうすればよいですか?
まずは親の意思を尊重し、負担に感じにくい方法を相談します。
電話ではなく短いメッセージにする、曜日を決める、簡単な応答だけにするなどの方法があります。
Q5.予定の時間に親と連絡が取れない場合はどうすればよいですか?
時間を空けて再度連絡し、別の連絡手段も試します。必要に応じて、近くに住む親族や知人へ確認を依頼します。
急病、転倒、事故などの差し迫った危険が疑われる場合は、119番や110番などへ連絡してください。
7.📝まとめ
- 親からの連絡が減ったことだけで、病気や孤立とは判断できない
- 厚生労働省の2024年調査では、高齢者世帯の52.5%が単独世帯(65歳以上のいる世帯全体では約32.7%)
- 一人暮らしの高齢者で、毎日人と話す人は38.9%、1週間に1回以下が合計29.6%
- 一人暮らしでも、家族や地域と交流している人はいる
- 親世代には「子どもの負担になりたくない」という意識があることを示す民間調査がある
- 連絡頻度を一方的に増やすのではなく、親子双方が続けやすい方法を決める
- 安否確認だけでなく、普段の会話を持つことも大切
- 緊急時の連絡方法や確認を頼める人を事前に決めておく
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