守られなかった3つの約束〜高速道路・トリガー条項・消費税〜


📋 この記事でわかること
- 高速道路の償還主義がどう変化したか(2115年までの延長経緯)
- トリガー条項が発動されない制度的理由と財政構造
- 消費税「全額社会保障」の会計上の仕組みと課題
- 今後の制度変更を見極めるための判断基準
👥 こんな人におすすめ
- 高速道路の料金徴収期間がなぜ延長され続けるのか知りたい人
- ガソリン価格高騰時に減税されない理由を理解したい人
- 消費税の使途が「見えにくい」理由を知りたい人
📑 目次
- 📌 1. 💹高速道路料金無料化:償還主義の変容と2115年までの有料延長
- 🧾 2. 💰ガソリン税トリガー条項:15年間凍結される暫定税率の自動減税装置
- 🧠 3. 🏛️消費税の使途:社会保障財源としての会計上の課題
- 🏁 4. 🔍なぜ制度説明時の前提と、その後の運用が変化したのか?
- 🧱 5. 🎯制度変更を見極める判断基準
- 🧭 6. ❓よくある質問(FAQ)
- 🔍 7. 📝まとめ──制度を見極める視点を持つ
- 📚 あわせて読みたい
📌 1. 💹高速道路料金無料化:償還主義の変容と2115年までの有料延長

💡 結論
問題の本質は、「一度確保した料金収入を手放せない財政構造」にあります。
🧩 1-1. 制度説明時の前提:「高速道路無料化(償還後は無料開放)」の約束
日本の高速道路は、建設費を借入で調達し、通行料金で返済する「償還主義(借金返済方式)」で整備されました。
制度設計時の説明:
借金を返し終わったら、無料開放します
この説明を前提に、国民は高額な通行料金を受け入れてきました。
📌 歴史的経緯
1956年に日本道路公団が設立され、名神高速道路(1963年開通)などの初期路線は「30年程度で償還完了後、無料開放」という計画でスタートしました。また、2009年には民主党政権が「高速道路無料化」を公約に掲げましたが、実現には至りませんでした。
⚙️ 1-2. 運用実態:高速道路料金の有料期限延長の歴史
しかし、この「前提」は繰り返し延長されています。
【表:高速道路の料金徴収期間の変遷】
| 時期 | 料金徴収期限 | 延長幅 | 根拠・備考 |
|---|---|---|---|
| 当初 | 30年程度 | - | 名神高速など初期路線の計画 |
| 2005年 | 2050年まで | - | 道路公団民営化時(道路関係四公団民営化関係四法) |
| 2014年 | 2065年まで | +15年 | 首都高速・阪神高速の更新計画 |
| 2023年 | 2115年まで | +50年 | 国土交通省「高速道路の新たな料金制度に関する検討会」中間とりまとめ |
2115年——これは今から約90年後です。
今年生まれた赤ちゃんが90歳を超えるまで、高速道路は有料のままです。
🔎 1-3. 延長の理由:新たな政策目的
延長の理由として示されているのは:
理由1:老朽化対策
・高速道路の大規模修繕が必要
・建設から50年以上経過する橋梁が急増(2033年には全橋梁の約63%)
・今後50年間で約30兆円規模の費用が必要(国土交通省2023年度試算)
理由2:新規建設費
・未整備区間の建設継続
・ネットワーク拡充
📌 重要な視点
当初の「償還」という目的は達成されつつあるが、「老朽化対策」「新規建設」という新たな政策目的が優先されている構造です。
📎 1-4. 家計への影響(具体例)
【例:東京-大阪間(通常料金・ETC割引なし)】
・料金:約8,000円(2024年現在)
・往復:16,000円
・年2回×50年:160万円
【例:首都高速(都内通勤・1,320円区間想定)】
・片道:約1,320円
・往復×240日(年間出勤):約63万円
・50年間:3,150万円
償還完了による無料開放が実現していれば、この負担は不要だったはずです。
🧠 1-5. 構造的課題:財源の恒久化
制度的な問題の所在:
償還完了 → 本来なら無料化
↓
しかし
↓
新たな政策目的(老朽化・新規) → 料金収入が必要 → 有料継続
一度確保した年間約3兆円規模の料金収入(NEXCO3社および首都高速・阪神高速等の合計、2022年度決算ベース)が、財政構造に組み込まれています。
📌 問題の本質
税収が恒久的に減ることへの財政的抵抗と、一度確保した収入を手放せない構造にあります。
✅ 1-6. 国際比較:制度設計の違い
| 国 | 高速道路の料金体系 | 制度設計の特徴 |
|---|---|---|
| 日本 | 全国的に有料(2115年まで) | 償還主義→目的変更で継続 |
| ドイツ | 無料(トラックのみ課金) | 税財源で維持 |
| フランス | 一部有料・一部無料 | コンセッション方式 (民間運営権売却) |
| アメリカ | 大半が無料 | 税財源で維持 |
日本の特徴
日本の特徴は、「償還」という当初目的が達成されても、新たな目的で有料が継続される点にあります。
🧾 2. 💰ガソリン税トリガー条項:15年間凍結される暫定税率の自動減税装置

💡 結論
問題の本質は、「法律で定められた自動発動が、政策判断に委ねられた措置に変質した」ことにあります。
📚 2-1. 制度説明時の前提:ガソリン価格高騰時の自動減税装置
トリガー条項は、本来、ガソリン価格が一定水準を超えた場合に
国民負担を自動的に軽減する仕組みとして、2010年に制度化されました。
【制度の仕組み】
ガソリン価格(全国平均)
↓
3か月連続で160円/L超
↓
【自動発動】← ここが重要
↓
暫定税率25.1円/L停止
↓
ガソリン価格が約25円安くなる
【発動条件】
・トリガー価格:160円/L(レギュラーガソリン・全国平均)
・判定期間:3か月連続
・効果:25.1円/L減税
制度の特徴は「自動性」——政治判断を介さず、条件を満たせば自動的に発動する設計でした。
🔸 2-2. 運用実態:制度の性質変化
トリガー条項は、法律上は現在も存在していますが、 租税特別措置法第89条第2項の適用が停止(凍結)されており、 実務上は一度も発動されていません。
法的ステータス:
・条文:租税特別措置法第89条に規定あり
・状態:2011年以降、適用停止措置が継続中
・効果:発動条件を満たしても、法的に発動できない状態
【2011年:凍結の開始】
2011年、東日本大震災の発生後、トリガー条項は「復興財源確保のため」という理由で凍結されました(租税特別措置法第89条第2項の適用停止)。
当初の説明:「一時的な措置」
しかし、2011年の凍結以降、この「一時的」な措置は10年以上にわたって継続しています。
📌 補足
復興財源の現状
復興特別所得税(2013年〜2037年、所得税額の2.1%)は現在も継続していますが、トリガー条項の凍結で確保された揮発油税の暫定税率分(年間約1.5兆円規模※2025年 廃止前水準)の使途は明示されていません。
【発動条件を満たした事例】
トリガー条項の発動条件と実際の対応
| 時期 | 全国平均価格 | 発動条件 | 実際の対応 |
|---|---|---|---|
| 2022年3-5月 | 約171円/L | ✅ 満たす | 凍結継続 |
| 2022年6-8月 | 約174円/L | ✅ 満たす | 凍結継続 |
| 2023年8-10月 | 約181円/L | ✅ 満たす | 凍結継続 |
| 2024年6-8月 | 約174円/L | ✅ 満たす | 凍結継続 |
📌 数値の定義
価格は資源エネルギー庁が毎週実施する「給油所小売価格調査」における、レギュラーガソリンの店頭現金価格(全国平均)の3か月平均値です。
制度の性質変化: 「法律による自動発動」→「政策判断に委ねられた措置」
📍 2-3. 代替措置:補助金の制度的課題
政府は凍結の代わりに補助金(石油元売り会社への助成)で価格を抑制しています。
【トリガー条項 vs 補助金の制度比較】
| 項目 | トリガー条項 | 補助金 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | ✅ 法律で規定 | ⚠️ 予算措置 |
| 自動性 | ✅ 条件で自動発動 | ❌ 政府の政策判断 |
| 透明性 | ✅ 価格に直接反映 | ⚠️ 間接的効果 |
| 継続性 | ✅ 条件が続く限り | ❌ 予算次第 |
| 権利性 | ✅ 国民の権利 | ⚠️ 政策判断に委ねられる |
| 財源 | 税収減(約1.5兆円/年) | 一般会計から支出 |
制度的課題:
1. 補助金はいつでも停止可能(法的義務なし)
2. 効果の透明性が低い(元売り会社への支払いのため)
3. 国民の権利として保障されない(政策判断次第)
4. 消費者が直接恩恵を実感しにくい
📝 2-4. 凍結継続の理由:優先順位の変化
政府が示す理由:
理由1:財政への影響
・年間約1.5兆円規模(2025年廃止前の税収規模)の税収減
・代替財源の確保が困難
理由2:事務負担
・ガソリンスタンドの価格変更負担
・システム対応の困難
理由3:環境政策との整合性
・ガソリン減税は脱炭素政策と矛盾
・化石燃料使用の促進になる
構造的な問題: 当初の「価格抑制」より、「財政の安定」「環境政策」が優先される構造になっています。
🧩 2-5. 家計への影響(具体例)
【試算:トリガー条項が発動されていたら】
前提:
・年間走行距離:10,000km
・燃費:15km/L
・年間ガソリン消費:約667L
・価格高騰期間:2022年〜2024年(約3年間)
減税額:
667L/年 × 25.1円/L × 3年 = 約50,000円
凍結継続により、この5万円は追加負担となっています。
※なお、実際の支払価格は補助金などにより調整される場合がありますが、
本試算は「本来、制度上軽減されるはずだった税負担」を示しています。
制度的な問題の所在
法律で保障された「自動減税」が、政策判断に委ねられたことで、発動条件を満たしても減税されない状態が続いています。
🧠 3. 🏛️消費税の使途:社会保障財源としての会計上の課題

💡 結論
問題の本質は、「会計制度上、税目と支出の1対1対応が示されない」ことにあります。
⚙️ 3-1. 制度説明時の前提
消費税導入時、政府は明確に説明しました:
消費税収は、社会保障の安定財源として位置づけ、
制度として確保する(社会保障財源化)
これは「社会保障の安定財源の確保等に関する法律」で明記されています。
ただし、会計上は一般会計に計上されるため、 「この消費税がこの年金に使われた」という 1対1の対応関係を示すものではありません。
【社会保障4経費】
1. 年金
2. 医療
3. 介護
4. 子育て
🔎 3-2. 会計上の仕組みと課題
【会計処理の実態】
消費税収は一般会計に組み込まれます。
一般会計の構造(2024年度当初予算ベース):
├── 収入
│ ├── 消費税収:約26兆円
│ ├── 所得税:約21兆円
│ ├── 法人税:約15兆円
│ └── その他
│
└── 支出
├── 社会保障費:約37兆円
├── 国債費:約25兆円
├── 地方交付税:約16兆円
└── その他
会計制度上の課題: 一般会計に計上される時点で、税目と支出が1対1で対応する形では示されないため、「この消費税が、この年金に使われた」という厳密な追跡は困難です。
📎 3-3. 政府説明と国民認識の構造的ギャップ
【政府の説明(会計上の事実)】 「消費税収26兆円は、社会保障費37兆円の一部に充当されている」
【国民の理解】 「消費税として払った26兆円が、全額そのまま社会保障に使われている」
【会計上の実態】
社会保障費37兆円の財源:
・消費税収:26兆円
・その他税収・国債:11兆円
構造的な問題: 政府の説明は会計上正確ですが、会計制度の仕組み上、国民が「税金の流れ」を直接追跡することは困難な構造になっています。
これは「使途不明」を意味するものではありませんが、透明性・追跡可能性という観点から課題があると指摘されています。
🧠 3-4. 社会保障費の推移と財源構造
消費税収と社会保障費の推移
| 年度 | 消費税収 | 社会保障費 | 不足額 |
|---|---|---|---|
| 2000年度 | 10.5兆円 | 16.8兆円 | 6.3兆円 |
| 2010年度 | 12.4兆円 | 27.3兆円 | 14.9兆円 |
| 2020年度 | 21.7兆円 | 35.9兆円 | 14.2兆円 |
| 2024年度 | 26.3兆円 | 36.9兆円 | 10.6兆円 |
消費税率を引き上げても(5%→8%→10%)、少子高齢化による社会保障費の増大(年間約1兆円ペース)により、不足は継続しています。
構造的な問題
「全額社会保障」という説明は法律上正確ですが、社会保障費は消費税収を大きく上回っており、「消費税だけで社会保障を賄う」という当初の理念とは異なる状態が続いています。
✅ 3-5. 制度設計をめぐる議論
専門家や識者から指摘される論点:
論点①:法人税との関係
・消費税導入(1989年)以降、法人税率は段階的に引き下げ
・法人税収:約19兆円(1989年度)→ 約15兆円(2024年度当初予算)
・ただし、法人税収減少の要因は複合的(税率・企業の海外移転・赤字企業の増加など)
論点②:軽減税率の制度設計
・食料品等を8%に据え置き(2019年〜)
・「社会保障財源」なら、軽減する理由は?
📌 補足
これらは制度設計の整合性に関する論点として議論されています。政府は「低所得者への配慮」「経済への影響緩和」などの理由を説明しています。
🏁 4. 🔍なぜ制度説明時の前提と、その後の運用が変化したのか?

3つの事例には、制度設計当初の想定と、その後の政治的・財政的判断の変化という共通点があります。
📚 4-1. 財源の恒久化
【構造】
当初:特定目的で税収・料金収入を確保
↓
財政構造に組み込まれる
↓
目的達成・状況変化
↓
しかし財源を手放せない
↓
新たな政策目的で継続
具体例:
・高速道路料金:年間約3兆円規模
・ガソリン暫定税率:年間約1.5兆円規模
・消費税収:年間約26兆円
制度的な問題
一度確保した財源を失うことは、財政的に困難です。税収が恒久的に減ることへの抵抗が、説明と運用の乖離を生む要因となっています。
🔸 4-2. 代替財源確保の困難性
説明通りの運用(無料化・減税)には、代替財源が必要です。
【必要な財源規模】
・高速無料化 → 約3兆円
・トリガー発動 → 約1.5兆円
・消費税減税 → 26兆円規模の影響
財政上の制約:
・新たな増税 → 国民の反発
・支出削減 → 既存政策への影響
・国債発行 → 財政健全化との矛盾
→ 結果:現状維持が選択される
📌 重要な視点
ただし、少子高齢化による社会保障費の増大(年間約1兆円ペースで増加)という、政権を超えた構造的要因も大きく影響しています。
📍 4-3. 政策優先順位の変化
【制度説明時の前提】
・高速道路 → 償還後無料
・トリガー条項 → 価格高騰時減税
・消費税 → 全額社会保障
【現在の政策優先順位】
1. 財政の安定
2. 新たな政策目的(老朽化対策、環境政策)
3. 制度説明時の前提 ← 相対的に優先度が低下
📌 構造的な問題
政策優先順位の変化が、制度説明時の前提より優先される構造になっています。
📝 4-4. 時間経過による認識の希薄化
時間の経過とともに:
・制度説明時の前提を記憶している人が減少
・「現状が通常」という認識が定着
・変更を求める声が上がりにくくなる
具体例:
・トリガー条項:15年間凍結 → 多くの国民が「制度の存在」すら知らない
・暫定税率:55年継続 → 「暫定」という認識が失われる
📌 構造的な問題
時間経過により、制度説明時の前提が忘れられ、運用実態が「当然のもの」として受け入れられる構造があります。
🧱 5. 🎯制度変更を見極める判断基準
今後、制度に関する説明を見るときの判断基準を整理します。
🧩 5-1. 財源の継続性を確認する
チェックポイント
[ ] 「一時的」「暫定的」という表現はないか
[ ] 財源規模はどれくらいか
[ ] 他の政策との財源的な関係は?
見極めの視点: 年間1兆円を超える規模の財源は、「一時的」でも恒久化する傾向があります。
⚙️ 5-2. 自動性の有無を確認する
チェックポイント
[ ] 法律で条件が明記されているか
[ ] 発動に政策判断が必要か
[ ] 「凍結」「停止」の条件は明記されているか
見極めの視点: 「自動発動」と説明されても、凍結条項がある場合、政策判断に委ねられる可能性があります。
🔎 5-3. 会計上の追跡可能性を確認する
チェックポイント
[ ] 特定財源か一般財源か
[ ] 税目と支出の対応が示されるか
[ ] 使途の報告義務があるか
見極めの視点: 一般会計に組み込まれる税は、税目と支出の対応を厳密に追跡することは困難です。
📎 5-4. 政策優先順位の変化を想定する
チェックポイント
[ ] 他の政策目的との競合はないか
[ ] 環境・財政等、新たな政策課題が生じる可能性は?
[ ] 時間経過で優先順位が変わる可能性は?
見極めの視点: 制度説明時の前提より、財政の安定や新たな政策目的が優先される傾向があります。
🧭 6. ❓よくある質問(FAQ)

✅ Q1. 高速道路の無料化は本当に実現可能なのですか?
A. 段階的な無料化は理論上可能ですが、約3兆円の代替財源確保が課題です。
例えば:
・償還完了路線から順次無料化
・深夜帯や地方路線を先行無料化
・混雑緩和のための時間帯別料金設定
ただし、現在の年間約3兆円規模の料金収入を失うため、老朽化対策費(年間約1.5兆円規模)などの代替財源をどう確保するかが最大の課題です。
海外ではドイツのように無料の高速道路(アウトバーン)を税財源で維持している国もあり、制度設計次第では実現可能です。
💡 判断のポイント
「無料化」より「老朽化対策・新規建設」のどちらを優先すべきか、という政策優先順位の問題です。
📚 Q2. トリガー条項が発動されない「制度的理由」は何ですか?
A. 複数の政策目的が競合し、「自動発動」より「政策判断による調整」が優先されています。
制度的な理由:
1. 財源問題:年間約1.5兆円規模の税収減を補う代替財源がない
2. 環境政策との整合性:ガソリン減税は脱炭素政策と矛盾する
3. 政策の柔軟性:補助金の方が政府にとって調整しやすい
構造的な問題: 法律で保障された「自動減税」が、政策判断に委ねられた「補助金」に代替されたことで、制度の性質が変化しています。
💡 判断のポイント
「価格抑制」「財政」「環境」のどれを優先すべきか、という政策優先順位の問題です。
🔸 Q3. 消費税は本当に社会保障に使われていないのですか?
A. 法律上は社会保障に充当されていますが、会計の仕組み上、税目と支出の対応を厳密に追跡することは困難です。
会計上の事実: 財務省の説明「消費税収26兆円は社会保障費37兆円の一部に充当されている」は、会計上正確です。
課題: 消費税収は一般会計に組み込まれるため、「この消費税が、この年金に使われた」という1対1の対応を示すことはできません。
構造的な問題: 会計制度の仕組み上、国民が「税金の流れ」を直接追跡することは困難な構造になっています。これは透明性・追跡可能性という観点から課題があると指摘されています。
参考: 消費税導入(1989年)以降、法人税率が段階的に引き下げられており(約19兆円→約15兆円)、「消費税増税分が法人税減税の穴埋めに使われているのでは」という指摘も一部で議論されています。ただし、法人税収減少には複合的な要因があります。
📍 Q4. 海外でも制度説明と運用の乖離はありますか?
A. はい、ありますが、日本の特徴は「期間の長さ」と「複数事例の並行」です。
他国でも:
・税制改正による政策変更
・財政状況による制度調整
・公約の未達成
日本の特徴:
1. 期間の長さ:「暫定」55年、トリガー凍結15年など
2. 延長幅の大きさ:高速道路2115年(91年延長)
3. 複数事例の並行:同時期に複数の制度で乖離が生じている
参考事例:
・ドイツ:アウトバーン(無料高速道路)を税財源で維持
・北欧諸国:税金の使途を詳細に公開し、透明性を確保
🧩 Q5. 具体的にどんな制度改善が考えられますか?
A. 以下のような段階的アプローチが議論されています。
高速道路:
・償還完了路線から順次無料化する計画の策定
・深夜帯・地方路線の先行無料化
・混雑緩和のための時間帯別料金の導入
トリガー条項:
・凍結解除の具体的ロードマップの作成
・補助金からトリガー条項への段階的移行
・環境負荷を考慮した新たな減税制度の設計
消費税:
・使途の「見える化」推進(特定会計化など)
・社会保障目的税化(独立会計での管理)
・軽減税率の範囲見直しと整合性の確保
共通する改善の方向性:
・制度説明と運用実態の透明化
・定期的な検証と国民への報告
・政策優先順位の明確化
これらは一例であり、正解は一つではありません。重要なのは、多様な選択肢を知り、議論することです。
🔍 7. 📝まとめ──制度を見極める視点を持つ
📌 この記事のポイント
✅ 高速道路:償還主義の変容
制度説明「償還後無料化」→ 運用実態「2115年まで有料(91年延長)」
⇒問題の所在:一度確保した年間約3兆円規模の料金収入を手放せない財政構造
✅ トリガー条項:制度の性質変化
制度説明「自動減税装置」→ 運用実態「15年間凍結、一度も発動されず」
⇒問題の所在:法律による自動発動が、政策判断に委ねられた措置に変質
✅ 消費税:会計上の追跡困難性
制度説明「全額社会保障」→ 運用実態「会計上の厳密な追跡は困難」
⇒問題の所在:一般会計に組み込まれ、税目と支出の1対1対応が示されない
✅ 共通する構造的要因
① 財源の恒久化(一度確保した収入を手放せない)
② 代替財源確保の困難性(新たな増税は困難)
③ 政策優先順位の変化(制度説明時の前提より財政・新政策が優先)
④ 時間経過による認識の希薄化(制度説明が忘れられる)
✅ 少子高齢化という現実
社会保障費は年間約1兆円ペースで増加
政権を超えた構造的課題も大きく影響
✅ 制度変更を見極める判断基準
財源の継続性・自動性の有無・会計上の追跡可能性・政策優先順位の変化
🎯 今後の視点
制度に関する説明を見るとき、以下を確認してください:
- 「一時的」「暫定的」の期間は? → 年間1兆円を超える規模は恒久化する傾向
- 「自動発動」の条件は明確か? → 凍結条項がある場合、政策判断に委ねられる可能性
- 使途の追跡は可能か? → 一般会計に組み込まれる税は追跡が困難
- 他の政策目的との競合は? → 財政・環境等が優先され、当初の前提が後回しになる傾向
- 時間経過で前提が忘れられていないか? → 定期的に制度説明時の前提を確認
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2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
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